移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスだけでは、FXでは値幅が取れずにだましに遭うことがよくあります。この記事では、伝説のトレーダー、エド・スィコータが使っていた「15EMAと150EMAのクロス」に、ASAMIが「800SMA」という長期の移動平均線を加えた形を、動画の内容にそって解説します。
結論は、800SMAで価格が行きたがっている方向を確認し、その方向に合ったクロスだけを狙うということです。
エド・スィコータはどんなトレーダーか
エド・スィコータは1946年生まれ、マサチューセッツ工科大学で電気工学と経営学を学んだトレーダーです。動画では、1972年から1988年までの約16年間で、5,000ドルの資金を1,500万ドルまで増やしたと紹介されています。年利にすると約60%で、ウォーレン・バフェットの約20%、ジョージ・ソロスの約30%と比べても大きな数字です。
さらに彼は1970年に、商業用としては世界初のコンピューター・トレーディング・システムを開発したとされています。パンチカードを使った原始的なコンピューターで、今の機関投資家が使うような仕組みを作っていたことになります。ここから分かるのは、大きな結果を出す人は、感情ではなくルールとシステムで売買しているということです。
15EMAと150EMAを使う移動平均線システム
スィコータの手法の中心は移動平均線です。多くの人が使う5日・20日・25日・75日ではなく、15EMAと150EMAという組み合わせを使っていました。
この組み合わせを使う3つの理由
- ノイズを取りのぞくため:15は短期のトレンド、150は長期のトレンドをとらえます
- 機関投資家と目線を合わせるため:機関投資家は半年単位で判断するといわれ、その期間に近い数字を採用したとされています
- バックテストで最適化された数字だから:何千回もテストして選ばれた数値だと動画では説明しています
基本の売買ルールはとてもシンプル
- 買いのサイン:15EMAが150EMAを下から上に抜ける(ゴールデンクロス)
- 売りのサイン:15EMAが150EMAを上から下に抜ける(デッドクロス)
移動平均線そのものについては 用語辞典「移動平均線」 もあわせてご覧ください。
ATRで「何株買うか」を決めていた
動画では、スィコータの本当のすごさはポジションサイズの決め方にあったと説明しています。ATRとは、相場の荒さを数字にしたものです。ATRが大きいときは値動きが荒くリスクが高いので少なめに、ATRが小さいときは相場がおだやかなので多めに買う、という考え方です。
なんとなく100株買うのではなく、リスクに合わせて科学的に株数を決める。この「感情ではなく数学で勝負する」姿勢が大切だと動画では語られています。ロット(取引量)の考え方は 資金管理 や FX計算ツール も参考にしてください。
ただし、ATRは当時の株のレートで使われていた方法なので、そのまま今のFXに当てはめるとうまく通用しない、というのがASAMIの検証結果です。そのため動画ではATRは使わず、移動平均線だけのシンプルな形で解説しています。
ASAMI流のアレンジ:800SMAを加える
15と150のクロスだけでは、ゴールデンクロスしたのに全然伸びず、すぐにデッドクロスしてしまう場面がよくあります。動画では「価格には必ず行きたがっている方向がある」と説明しています。その方向にクロスの勢いを合わせないと、値幅は取れないという考え方です。
そこで加えるのが800SMAです。800本のローソク足の終値を平均した長期の線で、長期の平均は短期の移動平均線にも影響を与えます。価格が800SMAより上にいる間は上に行きやすく、下にいる間は下に行きやすい、という性質を利用します。
チャートの設定
- 15EMA(動画では黄色)
- 150EMA(動画では赤)
- 800SMA(動画では青)
ショートの条件
- ローソク足が長いあいだ800SMAより上で推移している
- 久しぶりに実体で800SMAを下抜けた
- その後、初めて15EMAが150EMAを上から下にデッドクロスした(1回目のクロス)
- クロスした位置が800SMAより低く、しかも800SMAに近い
- クロスが確定した足の終値でエントリー
ロングはこの逆で、長く800SMAの下にいた価格が久しぶりに実体で上抜けし、初めて15EMAが150EMAをゴールデンクロスしたところを狙います。
損切りと利益確定
- 損切り:エントリー時点で決まっている直近の高値(ロングなら安値)の少し外側
- 利益確定:ローソク足の実体が150EMAに触れたら(実体で抜けたら)
動画の検証例では、この条件のショートで538pips、ロングで447pipsの値幅が取れた場面が紹介されています。一方で、条件どおりでもほとんど取れなかった場面も示されており、どんな手法にも負けはあります。損切りの考え方は 損切り もご覧ください。
伸びやすい形を見分けるワンポイント
- 800SMAから長いあいだ片側に離れていた状態からの実体抜けが望ましい
- 800SMAを何度も行ったり来たりしているレンジ状態は避ける
- 実体抜けのあと、すぐに押し(戻り)を作ってクロスする動きが800SMAの近くで起きると伸びやすい
- クロスの位置が800SMAから遠く離れているときは入らない
- 抜けたあとにずるずる戻って800SMAを割り込んだら、その形は無効と考える
動画では「たくさん検証して、自分の得意な形・好きな形を必ず導き出してください」と繰り返されています。長期の線と短期の線を組み合わせる考え方は マルチタイムフレーム分析 とも共通しています。
勝ち続けるにはシステムとマインドが必要
ASAMIは2,000人以上と面談し、160名以上の生徒さんと話してきた中で、コツコツドカンや、イライラしたときのエントリーでロットを上げてさらに負けるといった悪循環をたくさん見てきたと話しています。勝つことは人間にもできても、勝ち続けることは人間の感情だけでは難しい。だからこそ、スィコータのようにルールとシステムで判断することが大切だという結論です。
また「外部に答えを求めるマインドでは勝てない」「まず自分と対話して、短期が向いているのか、ゆっくり保有するスイングが向いているのかを知ることが土台になる」とも語っています。マインド面は FXで勝つためのマインド でも解説しています。
よくある質問
15EMAと150EMAは何分足で使えばいいですか?
動画では特定の時間足の指定はなく、移動平均線の組み合わせと条件の考え方が中心です。ご自身がよく使う時間足で、条件どおりの形がどれくらい出て、どれくらい伸びたかを検証して決めるのがおすすめです。
ATRは使わなくても大丈夫ですか?
ASAMIの検証では、ATRは当時の株のレートで使われていた手法のため今のFXでは使いづらいと判断し、この解説では移動平均線だけにしています。ただし、リスクに合わせて取引量を決めるという考え方そのものは大切です。
800SMAが表示できない時間足がありますが?
800SMAは800本分のローソク足が必要です。チャートを十分に過去までさかのぼって表示させてください。
まとめ
- エド・スィコータは15EMAと150EMAのクロスとATRによるポジション管理で大きな結果を出した
- FXではクロスだけだとだましが多いため、ASAMIは800SMAで価格の方向を確認する形を加えた
- 長く800SMAの片側にいた価格が実体で抜けた後の「1回目のクロス」を、800SMAの近くで狙う
- 損切りは直近高値・安値の外、利確は実体が150EMAに触れたところ
- 結果は検証の量で決まる。自分の得意な形を必ず見つけることが大切
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