世界的なトレード大会「ロビンス・ワールドカップ・トレーディング・チャンピオンシップ」で2度優勝したパトリック・ネイル氏は、ボリュームプロファイルと固定ルールにもとづくプライスアクションの2つを中心にトレードしていると紹介されています。
この記事では、その2つのツールの考え方と、彼の最悪のトレードから学べる教訓を、動画の内容にそって初心者向けに解説します。結論は、「なんとなく」をなくし、数字で決めた曲げないルールを作ることです。
パトリック・ネイルとはどんなトレーダーか
動画によると、パトリック・ネイル氏がトレードを始めたのは2000年代初めのドットコムバブルの真っただ中、学生時代でした。バブルが崩壊してもトレードへの情熱を失わず、2018年に自分のビジネスを売却してフルタイムのトレーダーになります。
家族や友人からは「危険すぎる」「お金を失うだけだ」と反対されましたが、「じゃあ証明してやる」と考え、ロビンスカップに参加。わずか1年後にはランキングに名前を刻み、2度の優勝、5年連続のトップランキング入りを果たしたと紹介されています。
成功の裏にあった「チーム」
動画では、チームで最も若いトレーダー、ジョナサン氏のエピソードも紹介されています。彼は大学のオンライン授業を受けながら、1人で部屋にこもってトレードしていました。ランキングで何度もパトリック氏の名前を見かけ、ウェブサイトの電話番号に電話をかけたところ、オフィスは家から車で15分の場所。そこから数ヶ月オフィスに通い、ほかのトレーダーの会話を聞いて学び、正式にチームの一員になったそうです。
ツール1:ボリュームプロファイル
ボリュームプロファイルは、価格帯ごとにどれだけ取引されたかを表示するツールです。どの価格帯に買い手や売り手が多くいたかがひと目で分かり、需要と供給のバランスが見えるようになります。
POC(取引が最も多い価格帯)に注目する
動画では、取引量が最も多い価格帯を示すPOCに注目しています。価格が安値に近づくにつれて出来高が急に増えた場面は、その安値が抵抗帯として意識された証拠と見ることができます。
なお、FXの出来高は世界中のすべての取引ではなく、ティック回数(値動きの回数)によるものだという点も動画で触れられています。それでも「どこが意識されたか」の目安にはなる、という考え方です。
エントリーの考え方
動画の例では、POCが重要な価格帯を示しているところで、安値・高値・安値・高値・安値と5波を作り、最後の4波目の戻り高値を実体で抜けたところからエントリーを考えています。波動の力も加わったエントリーになるので、上昇しやすいと見ています。
ツール2:固定ルールにもとづくプライスアクション
パトリック氏が強調するのは「主観を排除しろ」ということです。多くのトレーダーは、トレンドラインを引き直したり、自分に都合のよい解釈をしてしまいます。
プライスアクションとは、インジケーターを使わず、ローソク足の値動きだけで判断する手法です。たとえば有名な「ピンバー」は、長いヒゲと小さな実体を持つローソク足ですが、「このローソク足、ピンバーっぽいかな?」と考えた時点でダメだと動画では説明しています。
ピンバーの固定ルール
- ヒゲが実体の3倍以上の長さ
- 反対側のヒゲは実体の10%以下
- ボリュームプロファイルの重要な価格帯で出現している
この3つがそろったときだけエントリーし、1つでも欠けていれば、どんなに良さそうに見えても絶対に入らない。これが固定ルールの強さです。
動画のチャート例
POCとして意識されていた価格帯を割り込んだところは、多くのトレーダーの損切りを巻き込んだ場所と考えられます。そこに実体の3倍以上のヒゲを持つピンバーが2本出て、価格は上昇していきました。一度意識された価格帯は再び意識されやすく、次の場面でもピンバー2本、2番底、5波を作って戻り高値を実体で抜け、さらに上昇しています。
- 損切り:ピンバーが出た直近の安値の少し下
- 上昇したら、損切りをすぐ自分のエントリー位置にずらす
- 日足・4時間足など上位足の目線が同じ方向かもあわせて確認する
損切りの考え方は 用語辞典「損切り」、上位足の見方は マルチタイムフレーム分析 をご覧ください。損切りを巻き込む動きについては ストップ狩りの解説 もどうぞ。
初心者へのアドバイス:数字にできるルールを作る
パトリック氏は初心者に向けて、「フィボナッチでもトレンドラインでもいい。ローソク足でも移動平均線でもいい。でも固定されたルールを作れ」と話しています。大切なのは、数字で表せる明確なルールを作り、それを絶対に曲げないことです。
世界チャンピオンの最悪のトレード
2020年4月、原油価格が70ドルから13ドルまで暴落しました。パトリック氏のチームは「安すぎる、買いだ」と考えましたが、価格はさらに8ドルへ。ここで彼らは自分たちのルールを破り、ナンピンを重ねてしまいます。
損切りした直後、原油価格は史上初のマイナス40ドルに。予想していた損失は5,000ドルでしたが、実際は47,000ドル、約10倍になったと紹介されています。「どんなに確信があってもルールは守る。世界チャンピオンでさえ、ルールを破れば大損する」というのが動画のメッセージです。資金管理については 用語辞典「資金管理」 もご覧ください。
トレーダーとして成功するための3つのポイント
1. IQは関係ない
IQとトレードの成功は関係あるかと聞かれ、パトリック氏の答えは「ノー」でした。IQが高すぎると考えすぎてしまい、ポジションを持った5分後、15分後に「やっぱり違うかも」と疑い始める。計画どおりなら疑わずに持ち続けることが大切だと話しています。
2. メンターを持つ価値
ジョナサン氏は独学時代、何百ページものメモを作ってネットの情報を集めていましたが、情報が多すぎて混乱したそうです。チームに入ってからは、何年もかかっていたことが数週間で理解できたと語っています。
3. 情熱がなければ続かない
連敗が続く時期、資金が減る時期、自分を疑う時期に支えてくれるのは、情熱とチームだとパトリック氏は話しています。お金のためだけにトレードしている人は、そこで諦めてしまうということです。マインド面は FXで勝つためのマインド でも解説しています。
よくある質問
ボリュームプロファイルはFXでも使えますか?
使えますが、FXの出来高はティック回数によるもので、世界中のすべての取引を反映しているわけではない、という点は動画でも触れられています。重要な価格帯の目安として使うのがよいでしょう。
ピンバーの条件を少しゆるめてもいいですか?
動画のポイントは「条件を満たさないなら、どんなに良さそうでも入らない」ことです。条件を変えるなら、検証したうえで新しい固定ルールとして決め、それを守るようにしましょう。
インジケーターを2つだけで十分ですか?
動画では、ボリュームプロファイルとプライスアクションの2つで十分とまとめています。道具の数よりも、ルールを固定して守ることのほうが大切だというメッセージです。
まとめ
- ボリュームプロファイルで、取引が集中した重要な価格帯(POC)を見る
- ピンバーは「ヒゲが実体の3倍以上」「反対側のヒゲは実体の10%以下」「重要な価格帯で出現」の3条件で判断
- 数字にできる固定ルールを作り、絶対に曲げない
- ルールを破ると、世界チャンピオンでも想定の約10倍の損失になった
- IQよりシンプルさと情熱、そしてメンターやチームが大切
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