1992年、ジョージ・ソロスがポンド売りで巨額の利益を上げた話は、一般的には「イギリス経済の問題を見抜いたファンダメンタルズ分析の勝利」と説明されます。この記事では、ASAMIが当時のチャートを何十時間もかけて分析した結果、「テクニカル分析でも売りの根拠がそろっていた」とする見方を紹介します。
結論は、ダブルトップ・3点タッチしたトレンドラインの実体ブレイク・5波以上からの転換という、普段から使えるテクニカルの根拠が複数の時間足で重なっていた、というものです。なお、ソロス本人がテクニカルを使ったかどうかはASAMIの仮説である点にご注意ください。
一般的な説明と、ASAMIの見方
教科書的には、ソロスはイギリスの経済状況を見抜いて勝利した=ファンダメンタルズ分析、とされます。ASAMIはこれを「後付けの解説」とし、チャートにはテクニカル的な売り根拠もはっきり出ていたと考えています。
動画では、ソロスが1992年9月10日の時点で大きな売りポジションを持っていたという前提で、その時点のポンドのチャートに何が起きていたかを分析しています。
根拠1:左右30本ルールで引いた高値とダブルトップ
まず日足を縮小して見ると、左右30本以上ローソク足の実体が存在しない高値(ヒゲ)があり、ここに水平線が引けます。売りを仕掛ける約1週間前、価格はちょうどこの水平線にタッチしていました。一度意識された高値に再び意識される形=ダブルトップです。
ダブルトップについてはダブルトップの手法の記事でも詳しく解説しています。
なぜダブルトップの高値で売りが集まるのか
動画では、目立つ高値で売りが出やすい理由を、市場参加者の心理から説明しています。
高値で買って捕まった人の「やれやれ売り」
高値ブレイクを期待して買った人は、その後価格が下がると含み損を抱えます。損切りできない人は「買値まで戻ってきてほしい」と待ち続け、価格が戻ってきたところでポジションを手放します。買いポジションの決済は売り注文になるため、売りが増えます。
下から買ってきた人の利益確定
一方で、安値から買い上がってきた人たちは、目立つ高値に到達すると利益確定をします。これも売り注文です。
新規の売り
さらに、その動きを見て新規で売るテクニカルトレーダーも加わります。「損した人の決済売り」「勝っている人の利確売り」「新規の売り」が重なることで、価格が下落しやすくなるというメカニズムです。ストップや損切りが集まる仕組みはストップ狩りの記事もあわせてどうぞ。
根拠2:3点タッチしたトレンドラインの実体ブレイク
エントリーのきっかけとして、ASAMIはトレンドラインを使うことが多いと話しています。このチャートでも、ヒゲ先に1点・2点・3点とタッチしたトレンドラインが引け、それをローソク足の実体でブレイクしていました。ダブルトップとトレンドラインブレイクという強い根拠が2つ重なっていたことになります。トレンドラインの基本はトレンドラインの用語解説をご覧ください。
根拠3:5波以上からの転換
もう一つの注目点が波形です。ASAMIは「5波以上つけた波動は転換しやすい」と考えています。動画では自身が開発したインジケーターで波を数え、日足で5波、2日足で7波、3日足で5波、週足で7波からの転換が確認できたと解説しています。週足では最後の押し安値もブレイクしていました。
複数の時間足で同じ方向の根拠がそろっていたことから、ASAMIは「ファンダメンタルズに加えてテクニカルも合致していたため、大きく仕掛けたのではないか」と推測しています。複数の時間足を見る考え方はマルチタイムフレームの用語解説も参考になります。
月足で見えた損切りを巻き込む動き
おまけとして月足も確認しています。7波目の頂点を価格がヒゲだけで上抜けた場面では、その頂点に置かれていた売り方の損切り(買い注文)を巻き込みながら、大口の売りが入ったと推測できると解説しています。大きな資金を動かす投資家は、反対側の注文が大量に出る場所でないとポジションを作れないためです。
この分析から学べること
- 伝説的な取引でも、ダブルトップ・トレンドライン・波形といった基本的なテクニカルで説明できる部分がある
- 高値で売りが集まる理由を、参加者の心理から理解しておくと形の意味が分かる
- 複数の時間足で根拠がそろう場面ほど、判断の材料が増える
天井の見極めについては天井・底を見極める3つの判断基準も参考にしてください。
よくある質問
ソロスは本当にテクニカル分析を使っていたのですか?
それはASAMIの仮説です。動画では、当時のチャートにテクニカル的な売り根拠がそろっていたことから、知らなかったとは考えにくい、という見方を紹介しています。
ダブルトップの高値はどうやって決めますか?
動画では、左右30本以上ローソク足の実体が存在しないヒゲの部分を高値として水平線を引く、という定義を使っています。
なぜ5波以上の波動が転換しやすいのですか?
動画では、ASAMIが検証から「5波以上つけた波動は転換しやすい」と考えていることが語られています。詳しい計算方法は公開されていません。
まとめ
ジョージ・ソロスのポンド売りは、ファンダメンタルズの話として語られることが多いですが、チャートを見るとダブルトップ・3点タッチのトレンドラインブレイク・5波以上からの転換という根拠が複数の時間足で重なっていた、というのがASAMIの分析です。歴史的な相場も、基本のテクニカルで振り返ると学びが多くあります。
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